たばこのおまけのフランネルの国旗

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右上にご注目してくださいませ。カットし忘れたのでしょうか?それともワザと残したのでしょうか?こんなちょっとした発見が、またアンティークの魅力のひとつなのかもしれません。

No. 048 Tobacco Flannels Quilt Top(たばこのおまけの国旗)

お待たせしました。今回は、前々回から何度も登場している「おまけ」をご紹介したいと思います。はたしていったいその「おまけ」の正体とは?

1881年から1920年のアメリカではたばこに「おまけ」としてハギレをつけて売り出しました。女性にたばこを買ってもらおうと、あるたばこ会社がキルトのブームに目をつけたのです。女性の喫煙率があがったかどうかはさておき、その作戦は見事にあたりました。おまけだけをつなぎあわせたキルトが作られたのです。

なかでもシルクの生地にプリントをしたシルキーというシリーズが有名です。大きさはいくつかあるようですが、私が見たものはおよそ縦6cm×横4cmです。人物や動物、国旗など、集めたくなるシリーズが数多くあったようです。シルクは保存がむずかしく、良いコンディションで残っているものは少ないようです。

シルキーのほかに、フランネルの生地に国旗をプリントしたおまけがあります。実は今回、このフランネルの国旗を2枚ゲットしてきました。左が「日本の国旗の日の丸」です。「Japan」と国名がはいっています。右が「アメリカの国旗の星条旗」です。写真をそれぞれクリックしてみてくださいませ。拡大して見ることができます。こちらも大きさはいくつかあるようですが、私がゲットしてきたものはおよそ縦13cm×横21cmです。

前回でもご紹介した、小野ふみえさんの本「キルトに聞いた物語」を見てあらかじめ知っていた私は、まさかここで出会えるとは思ってもいなかったので、みつけた時は「ホントにあるんだ・・・」とあらためて納得してしまいました。この2枚だけでなく、まだまだたくさんの国旗がありました。国旗のデザインが現在とはまったく違っていたり、現在とは国の名前が変わってしまったり、国そのものがなっくなってしまった国旗もありました。

ところでみなさま、Victoria Hoffmanさんをご存知ですか?Victoria Hoffmanさんは、アンティークキルトの研究家としてとても有名な方です。実は、このフランネルの国旗をゲットしたお店は、そのVictoria Hoffmanさんのアンティークキルトショップでした。

小さなものから大きなものまで、たくさんのアンティークキルトやキルトトップがところせましと並んでいました。フィードサックはもちろん、ダブルピンクや西洋茜の茶系の布、昔のアメリカの田舎の風景がプリントされたカーテンなどなど。

私が何枚もある国旗のおまけを並べながらどれにしようか迷っている時、ちょうどお店にいらしたVictoria Hoffmanさんが、ある1枚のキルトトップを棚から取り出して、広げて見せてくれました。それは「フランネルの国旗と同じ素材の花柄の生地とつなぎ合わせて作ったTobacco Flannels Quilt Top」でした。見た瞬間「あっ、いいナ!」と思いました。

すでに前回でご紹介したとおり、フィードサックをゲットした後だったので、その時は後ろ髪をひかれる思いであきらめました。しかし、どうしても忘れられません。後日再びお店に足を運んでみました。なくなっていればあきらめがつきます。ところが、まるで私が再びくるのを待っていたかのように?そのキルトトップはまだそこにあったのです。これもなにかの縁です。迷いに迷って、とうとうゲットしてしまいました。

年代は1900年〜1914年。Massachusettsで作られたようです。状態はMint Conditionです。大きさはベッドカバーサイズで、およそ縦228cm×横162cmです。国旗のおまけが39枚、使われています。

あまりに写真がボケボケでよくわからないかと思いますが、これが全体のイメージです。キルトトップをクリックすると、一部拡大して見ることができます。

Victoria Hoffmanさんは、とても笑顔の素敵な方でした。たばこのおまけについての説明から、洗濯の方法、保存の方法まで、丁寧に説明してくださいました。もちろん、通訳の方をまじえてです。たとえば・・・。

もし壁にかけるのなら直射日光の当らない部屋の奥がよいとか、逆にしまっておくのなら中表にたたんで枕カバーに入れておくとよいとか、上に物をのせないようにした方がよい、などなど。洗濯は押し洗いがよいが洗濯機でもゆっくりまわせば大丈夫、でも乾燥機にかけてはダメとか、まわりのほつれているところをかがった方がよい、などなど。

今から100年も前にアメリカのマサチューセッツで作られたキルトトップは、海を越えて日本に渡ってきました。実物を多くの方に見ていただきたいところではありますが、今は我が家の押し入れの中でひっそりと静かに眠っています。時々だして広げてみては、ひとりニンマリしている私です。

2000年09月29日

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キルトカフェは2005年3月1日にオープンしました。