▼アメリカンキルトとは?
アメリカンキルトの歴史は古く、1620年、メイフラワー号に乗ってイギリスからアメリカ大陸に移民してきた人たちが、防寒のために作ったのがキルトの始まりとされています。ただひたすら小さなハギレをつないで、大きな布にするのが目的でした。
産業革命後のアメリカでは、キャリコといわれる木綿の布が大量に生産されるようになります。そして、装飾のためのキルトが競って作られるようになりました。
アメリカ独立100年をピークに、キルトの人気は下降線をたどっていきます。機械の便利さを知った人々は、時間と手間のかかる手仕事を敬遠するようになったのです。
しかし、1930年代の経済恐慌時代に再びキルトが見直されるようになります。倹約をしいられる人々は、布をリサイクルして作るキルトのすばらしさに気付くのです。
第2次世界大戦をさかいに再び、キルトの人気は下降線をたどっていきます。化学繊維や電化製品が普及し、大量生産大量消費の時代が始まると、キルトはしだいに忘れられていきます。
1965年頃から、キルトは美術品・芸術品として注目をあびるようになります。忘れさられていたキルトは「アンティークキルト」として評価されるようになります。
1980年代になると、またまたキルトの人気が高まってきます。コンテストや展示会なども盛んに開催されるようになります。伝統的なキルトのみならず、新しい表現方法やテクニックが次々と生まれ、キルトは限りなく進化していきます。
アメリカンキルトとは、パッチワークキルトに代表されるピースドキルトをはじめ種類が多いのが魅力です。ピースドキルト、ハワイアンキルト、アップリケキルト、クレージーキルト、ヨーヨーキルト、ログキャビンキルト、レッドワークキルト、ホワイトキルト、アーミッシュキルト、ボルティモアアルバムキルト、ヴィクトリアンキルトなどなど、いくつかの種類に分類することができます。
中でも小さなハギレをつなぎあわせて作るキルトは「ピースドキルト」とよばれ、アメリカンキルトのなかで、もっとも代表的なキルトです。ちなみに、日本ではパッチワークキルトとよばれることが多く、キルトといえばパッチワークキルトをさすことが多いです。
小さなハギレをつなぎあわせて作られるパターンは、かぞえきれないほどあります。そしてパターンのひとつひとつに名前がついています。パターンの名前の由来をたどっていくと誕生した時の歴史の背景を知ることができ、キルトの奥深さを知ることができます。
キルトにかかせないのがキルティングです。初期のキルトは丈夫さを目的としたキルティングがほとんどで、デザイン性はありませんでした。時を経て実用的なキルトから装飾的なキルトが作られるようになると、「フェザーリース」に代表される美しいキルティングのデザインが生まれました。細かく揃った針目と、針目が作る陰影の美しさは、アメリカンキルトの魅力のひとつでもあります。
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