ハワイアンキルトは、大きな1枚布にモチーフをアップリケしてからエコーキルティングをします。モチーフとなる布を4枚または8枚に折りたたみ、いっきに切りぬき、土台となる布に広げ、縫いしろを折り込みながらたてまつりでアップリケするという独特の手法で作られています。
木陰に干してあった白いシーツの上に映る、ゆらゆらと大きくゆれ動くレフアの木の葉の影があまりに美しかったので、その形を描いて切り取ったことから生まれたというハワイアンキルトの伝説は、キルターのあいだでもっともよく知られています。
宣教師によってハワイに伝えられたキルトはピーシングによるものでした。ハワイではその昔、木の皮をたたいてなめしてできたタパと呼ばれるものを使ってシーツや衣類を作っていました。衣類はタパを巻いてまとうスタイルだったため、布を裁断することはなくハギレがでることもありませんでした。一枚の布をわざわざ小さく切ってつなぎあわせ、また一枚の布にするパッチワークという技法はハワイでは広まりませんでした。
そこで独自に生まれたのが、一枚の布からデザインを切りとってアップリケをする技法です。ハワイアンキルトの誕生です。
ハワイアンキルトのパターンは、ハワイの自然や文化を形にしたものが多く、アンスリウム、ロケラニ、プルメリア、ハイビスカス、レフアなどの植物、パンの木、パイナップル、ククイなどの果物、イルカやカメなどの海の動物、ウクレレ、フラパフ、イプヘケなどの楽器などがあります。また、神聖なテーマをパターンにしたものではハワイ王朝の紋章をはじめ、髪かざりや羽かざりなどハワイ王朝ゆかりのものがあります。
なかでもパンの木のパターンはもっとも人気のあるパターンのひとつです。昔から貴重な食料源だったパンの木は、葉は大きく木の高さは10メートルを超します。その姿にあやかって、自身が「成長する」「豊になる」と信じられてきたからです。
ハワイアンキルトの配色は土台となる布は、白、モチーフとなる布には赤、黄、緑、青などのはっきりとした色を組み合わせが多く、白と赤の組み合わせはもっとも伝統的な配色のひとつです。あらゆる色が氾濫している今だけに、シンプルな配色はハッと目をみはるものがあります。好みの色を自由に組み合わせて自分らしさを表現してみたいものです。
モチーフのまわりを幾重にもキルティングしていく、エコーキルティングと呼ばれるキルティングは、ハワイアンキルトの特徴のひとつです。小指一本分の間隔を目安にしながらフリーハンドでキルティングしていきます。 ビッシリとキルティングされたハワイアンキルトは、とても美しいです。手縫いのキルティングの手触りはどこまでも柔らかく、うねうねとした感触が最高です。
|