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No. 008 フィードサックってなに?

みなさん、フィードサックをご存じですか?フィードサックは、1930年代のアメリカで作られた飼料袋や小麦袋のことをいいます。1930年頃のアメリカといえば、深刻な不況におちいっていました。そんな中で、キルトも気持ちがパッと明るくなるようなパターンが好んで使われたようです。Dresden Plate(ドレスデンプレート)のパターンのキルトなどはその代表的なものだといえるでしょう。 布地も明るくにぎやかで元気のでる配色が好まれました。そこで、カラフルなプリントがされている飼料袋や小麦袋を好んで使いだしたようです。
先日、キルトの雑誌のバックナンバーをパラパラとめくっていたらフィードサックのことがのっていました。そういえば、私がよく行く生地屋さんで以前からあつかっていたことを思いだしました。今こうして雑誌を見ているとなぜか新鮮に見えてくるのです。じっくりと見てみたいとそう思った私は、さっそく、その生地屋さんへ行ってみることにしました。 たしかにありました。フィードサックのコーナーがあって、ちゃんと「フィードサックとは・・・」と説明してありました。いつもなら素通りするコーナーです。

カットクロスは1枚500円と、値段も普通のU.S.A.コットンにくらべてかなり高いです。さわった感触は、ちょっと厚手で目が粗い感じです。袋だったんだなっと思わせる、素朴で丈夫そうな感触です。 なかには、鮮やかな地色を使ったものもありますが、ほとんどが白地にカラフルなプリントがしてあります。その色は今では見られないなつかしい配色とでもいいましょうか、とにかくどれもが新鮮でカラッとかわいた明るい色なのです。柄は幾何学模様やペイズリー模様、植物の図柄が多かったように思います。南国を思わせる柄、東洋的なエキゾチックな柄などもあって、今の布には見られないものばかりです。

ひとつ気に入った柄の布があったのですが、それはカットクロスではなくてかなり大きなサイズでカットされていました。ひょっとしたら袋を2つに割ったのかもしれません。値段が4,000円だったのであきらめました。 でもなにかひとつ欲しいと思ってそのコーナーをぐるぐると何度もまわりながら見ていたところ、みつけました。なんと袋のかたちそのままのものがあったのです。おそるおそる値段を見てみました。これまた4,000円でした。「ああ、また4,000円か。高いな・・・。」とあきらめかけていたところ、この袋を見つけました。黄色の柄のフィードサックです。

何点かあったのですが、しみがあるということでこの袋は半額の2,000円だったのです。サイズは約縦91cm、幅56cmのもので口のところはみみになっていました。総柄ではありませんが、袋の形のままなので逆にボーダー柄がいかされていると思います。とても素朴で、元気がでてきそうな明るい黄色が気に入ってます。しみも全然気になりません。2,000円ならいいかなっと思い、おもいきって買うことにしました。
復刻版がでてるくらいですから、これらの配色をなつかしく思う人は私だけではないようです。もちろん、今から約70年まえの1930年には存在していませんでしたが・・・。フィードサックだけでなく、1930年代から40年代、50年代にかけての布には今の布にはない何とも言えない魅力があります。 小さなシミはありますが、まずまずのコンディションです。

1999年05月19日

キルトカフェ 手芸の道具・テクニックにまつわるコラムです。
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