今回は、東京の日本橋高島屋で開催されましたバッチワーク・キルト展〜人気作家6人のメッセージを見てきた感想をご報告したいと思います。
その前に、みなさま、NHKテレビのおしゃれ工房という番組をご存じでしょうか。「おしゃべり広場」でも、たびたび話題にのぼっています。「今夜もあなたのパートナー」という番組の中にあるコーナーです。放送時間は、総合テレビで月〜木曜日の午後9:00〜9:35。翌日の火〜金曜日の午前10:30〜10:55に再放送されます。ちなみに、10月は13日(水曜日)と14日(木曜日)がパッチワークです。ほかにも編み物や水彩画、日曜大工にステンシルなど、手作り派の方にはおすすの番組です。
■今夜もあなたのパートナー
http://www.nhk.or.jp/partner/
さて、今回の展示会は、この番組に登場した6人のキルト作家の代表作から最新作までを紹介してありました。まず、受付けに記帳ノートがあったので書こうとしましたが、近づいてみて思わずひるんでしまいました。記帳といえば、ノートにえんぴつあるいはボールペンが置いてあるのがほとんどですが、結婚式の披露宴の時のように、なんと「筆」が置いてあったのです。一瞬まよいましたが、やはりびびってやめてしまいました。受付けの方も「どうぞ」と言いながらも、私が「結構です」と断ると「でしょうね」といった感じでした。
さて、いよいよ会場に入るわけですが、まず会場がかなり暗いので、ちょっとビックリしてしまいました。
ほのかにキルトがライトアップされていました。それぞれの方の最新作と思われる作品が、一人1枚ないし2枚ほど展示されていました。その部屋はそれでおしまいでした。「まさか、これで終わり?」と思いながら、奥の部屋へ進みます。照明も普通の明るさで、いわゆる「ふつうの作品展」の雰囲気です。それぞれの方のプロフィールなども一緒に紹介されていて、作品も代表作が数点ずつ展示されていました。
■岡野栄子さん
はじめて岡野栄子さんの作品を見ました。独創性あふれる作品ばかりで、特にその中でもボタンをたくさん使っている作品が印象的でした。配色もデザインもとにかくにぎやかで、楽しい作品ばかりでした。私は特に「おいしい果物シリーズ」を見て、びっくりしてしまいました。とても布をうまく利用していたからです。たとえば、キウイとかオレンジの輪切りの柄の布があるとします。その部分をくりぬいてアップリケにして、お皿にもってあったりします。レモンなどは、無地に近い黄色の布の濃淡をうまく組み合わせて立体感を出しています。かならず輪郭を黒い刺しゅう糸でステッチしてあるのですが、最近のイラストによく使われている筆のタッチのように、しかも実際の輪郭と微妙にずらしてあって、まるで絵画を見ているようでした。
■黒羽志寿子さん
藍染の布を使っていたのが印象的でした。今回は、ストレートスラッシュという技法を用いた作品も展示してありました。
■郷家啓子さん
郷家啓子さんの作品は以前から知っていました。はじめて見た作品は、たしか「こわれたハート」だったと思います。ミシンキルトの作品が多く、カラフルなクレイジーキルトやログキャビンなど、とても大胆なデザインと色づかいが印象的です。
■斉藤謠子さん
私がキルトをはじめたころに、よく斉藤謠子さんの作品を見ました。本も持っています。カントリー調で、全体が茶系やベージュ系でまとまった作品が多く、実際に自分の家の中にディスプレイしても、しっくりなじむキルトといった感じです。ピースワークは、どこまでも小さく正確です。キルティングは、ミシンかと見間違うほど細かく、目が揃っていたのが印象的でした。
■前田順子さん
絹を使った作品が印象的でした。着物も展示してありました。
■鷲沢玲子さん
鷲沢玲子さんの作品も、私がキルトをはじめたころに、よく見ました。やはりキルティングはかぎりなく細かくそろっていて、キルティングデザインも美しく、トラプントを使った作品が印象的でした。鷲沢玲子さんは、トラディショナルキルトの作品が多く、ナチュラルでとても上品な感じです。
■Janet Bolton(ジャネット・ボルトン)さん
英国のキルト作家です。特別展示として50点ほど紹介されていました。
これらの方々は、それぞれ作品集や解説本を出していらっしゃいます。興味をもたれた方は、さっそく本屋さんへ行って見てみてはいかがでしょうか。きっと、これからのキルト作りの参考になると思います。近くに図書館がある方は、ついでの時にさがしてみましょう。おそらく図書館にもおいてあると思います。
1999年10月09日
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