さて、ここでちょっとしたエピソードをひとつ。前編でお話ししたとおり入口には記帳ノートと筆と硯がおいてありました。筆の話しはさておき、図録があるとしたらここにあっていいはずですが、ありませんでした。まさか売り切れ?初日の午前中です。そんなわけがないと思いながら、手ぶらで会場に入っていきました。
ホントに図録がないのかもしれません。それならば、忘れては大変と思いメモをとりながらじっくりと作品を見ていきます。実は、作品を半分ほど見終わったところで「ワレンさんの作品説明がはじまりますので入口までお集まりください。」というアナウンスが流れてきたのです。はじめは、ひとりでゆっくり見たいと思いましたが、説明を聞いてみるのもいいかもしれないと思いなおし、入口まで戻ることにしました。
ワレンさんの話を聞きながらというよりも、通訳の方の説明を聞きながら、作品から作品へと集団になって移動していくわけですが、どのあたりだったでしょうか、なんと図録らしきものを手にしている人がいるではありませんか。どこで手にいれたのか気になってしかたがありません。なくなってしまっては大変と思うとワレンさんの話も耳に入りません。
たしか、1枚目のコンテンポラリーキルトの説明にさしかかったころです。なにがなんでも図録をゲットしたい私は、まず、出口に向かいました。きっと出口にあるにちがいない!ありました!図録と美術館の本が。「いただいてよろしいですか?」と、係りの人に訪ねると、「はがきをお持ちですか?」と聞かれ、「持ってます!」とはがきをだして見せると、「こちらのはがきは、あちらで交換しております。」と会場の外のはるか向こうを指さすではありませんか。どうやら、はがきによって交換場所がちがうようです。
はがきを持っていくと粗品と交換しますというようなことが書かれていたのを思い出しました。その粗品が図録だったにちがいありません。幸いなことに入場料が無料ということは、会場を何度でも出たり入ったりできるわけです。でも、ワレンさんの説明も聞きたいし・・・。一瞬ためらいましたが、私は走りました!そしてはがきと図録を無事交換することができました。しかしここで終わらないのが私です。ずうずうしいことに、手渡したはがきを指さして「そのはがきをいただけませんか?」と係の人にたのみます。
私はこの手のはがきやチケットを集めているのです。今回はチケットがなかったので、どうしてもこのはがきをとっておきたかったのです。係りの人が「次回のための資料になりますので、お渡しするわけには・・・」と困りながらも、宛名が印刷されていないはがきをさがしだして「これでよろしければどうぞ」と、そのはがきをくれたのです。なんて、親切なおじさまだったことでしょう!お礼を言ったあと、すばやく会場に戻った私ですが、まだ集団は2枚目のコンテポラリーキルトのところにいました。なんという早業!
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