キルトカフェホームお茶にしませんか展示会リポート

No. 046「キルトフェスティバル2000」を見て〜前編

9月7日(木)から13日(水)まで、渋谷東急本店でキルトフェスティバル2000が開催されています。今回は、おかげさまで恒例になっております展示会のリポートを前編後編の2回にわけて、いち早くみなさまにおとどけしてみたいと思います。
毎年この時期に東京で開催される「ハーツ&ハンズ主催のキルトフェスティバル」ですが、なかでも私がとても楽しみにしているのが、特別展示の「野原チャック・アンティークキルトコレクション」です。昨年は「サーティーズ・キルト」のコレクションでしたが、今年は「ログ・キャビン」のコレクションが展示されていました。

みなさまもご存知のとおり、ログキャビンのパターンは19世紀の西部開拓時のアメリカで流行ったパターンです。中心の四角形に細い布を順につなぎあわせていくことから、ログキャビン(丸太小屋)と呼ばれるようになりました。その中心となる四角形のピースは、暖炉を表しているといわれ、赤い布がよく使われます。

ログキャビンのパターンは、布のつなぎ方、配色の明暗の組み合わせ方そしてセッティングによって、数多くのヴァリエーションが生まれました。呼び名もそれぞれにつけられています。


今回展示されていたログキャビンのキルトは全部で11枚。パターンやセッティングもそれぞれで、どれも魅力あるキルトたちでした。やはり、中心のピースには赤い布が使われていたものがほとんどで、まわりを囲む細い布は、茶系が多かったように思いました。着古した衣服の布などを裂いて作ったと思われます。なかには、赤と黄色を大胆に使ったものもありました。

単純といえば単純なパターンですが、セッティングによってこれほど動きがでるパターンはないと思います。明暗をくっきりつけることによって、セッティングのおもしろさが増します。ブロックのひとつひとつに、規則性をもたせることで、さらに動きが増すような気がします。

中心の赤い布を効果的に使った「かざぐるま」のセッティングのキルトは、とても興味深いものがありました。中心の正方形のピースと、となりあわせの長方形のピースひとつを同じ赤色にして「ト」の字を作ります。ブロックの配置を回転させて並べます。赤い「ト」の字の向きが、上、左、下、右と変わることによって、動きがでます。

とても奥の深いログキャビンですが、1枚作ったらまた1枚、かぎりなく作りたくなるにちがいありません。ログキャビンのキルトをまだ作ったことがない私は「今から茶系の布と白地に柄のある布を集めよう!」などと思ってしまいました。ストライプ柄の布やチェック柄の布も効果的に使われていました。まずは布集めからスタートです。


とてもめずらしいキルトトップが1枚展示されていましたので、ここで詳しくご紹介したいと思います。「シガーリボン」で作られたキルトトップです。

シガーリボンとは、葉巻を束ねていたおよそ1〜1.5cm幅のシルクのリボンのことです。細い帯状になっているリボンの1本1本に、それぞれの会社の名前やロゴマーク、商品名そして値段が刻まれています。ほとんどのリボンは黄色または金色ですが、なかには赤やブルーのリボンもまじっていました。

以前に本で見て知ってはいましたが、実際に見たのは今回がはじめてです。「シガーリボンのキルトをこの目で見ることができて、なんてラッキーなんだろう!」と、ひとりで感激してしまいました。が、あらかじめ予習がされていないと、説明文を読んでもあまりピンとこないのかもしれません。足を止めて見ていた人は、残念ながらあまりいなかったようです。

葉巻についていたリボンを捨てずにとっておいたら集まってしまったというよりも、どちらかというとリボンが欲しくて葉巻を買ってしまったのかもしれません。しかし、当時の葉巻はとても高価だったようです。1枚のキルトができるほどリボンが集まったということは「お金持ちのあかし?」なのかもしれません。どちらにしても、シルクの色と光沢、そして何よりも刻まれた文字が美しいです。

キルトトップの大きさは1辺がおよそ60cm以上はあったかと思います。あまりに貴重であるためなのか、ガラスのケースに入って大切に展示されていました。

ちなみに、私が以前にシガーリボンのキルトを見たという小野ふみえさんの本「キルトに聞いた物語」をご紹介します。ほかにも素敵なアンティークキルトがたくさん紹介されています。1枚1枚のキルトに丁寧な解説文が書いてありますので、とても勉強になります。ハードケースに入っていて、お値段が少々高めですが、私イチオシのおすすめの本です。続編の「花かご揺りかご」もご一緒にどうぞ。


さて次に、フェスティバルのキルトを見た感想を書いてみたいと思います。「トラディショナル部門」「インヴェイティブ部門」「コンテンポラリー部門」そして「バッグ小物部門」などのカテゴリーにわけられて展示されていました。どれも力作ぞろいのキルトばかりでした。

トラディショナルキルトが好きな私は、やはりシンプルなセッティングに美しいキルティングのキルトに心がうばわれます。さすがに受賞した作品は、キルティングが細かくてまるでミシンのように正確です。

キルティングは、細かければ細かいほど美しいと言いつづけてきた私ですが、この「ミシンのような」という形容詞は、はたしてほめ言葉なのだろうかと、少々疑問に思ってしまいました。あまりに細かく正確なので、ちょっと冷たい感じがしないでもありません。

テクニックもどんどん進化しているようです。たとえばピースドキルトでも、ピーシングとキルティングだけでなく、プラス「アップリケ」、プラス「刺繍」といった具合です。素材も布だけでなく、プラス「ボタン」、プラス「スパンコール」などなど。

1枚のキルトに使われている布の種類もハンパではありません。なかには白の無地布と柄布の2種類のみといった作品もありましたが、ほとんどの作品があふれんばかりの多くの種類の布を使っています。

「スゴイ!」と思いながらすべてのキルトを見終わってみると、印象に残っているキルトは、やはりシンプルなキルトでした。シンプルなキルトなのに、見るたびに新しい発見があるから不思議です。テクニックのスゴサだけでなく、記憶に残るなにかがあるようです。


次回は後編として、ゲットしてきたフィードサックをご紹介したいと思います。飼料袋のフィードサックはあまりに有名ですが、今回はラッキーなことに、小麦粉袋のフラワーサック、砂糖袋のシュガーサックもゲットしてきました。

そして、さらにラッキーなことに、さきほど紹介した本「キルトに聞いた物語」の中で、シガーリボンとともに紹介されているたばこについていた「おまけ」もゲットしてきました。はたして、その「おまけ」とは?お楽しみにどうぞ。

2000年09月09日

キルトカフェ 展示会のリポートです。
キルトカフェは2005年3月1日にオープンしました。