キルトカフェホームお茶にしませんか展示会リポート

No. 062「チャックス・パッチワークスクール25周年記念展」を見て

3月8日(木)から3月14日(金)まで、渋谷東急本店でチャックス・パッチワークスクール25周年記念展が、開催されました。作品の入れ替えがありましたので、2度、足を運んで見てきました。今回は、そのレポートをおとどけしたいと思います。
みなさまもご存知の通り、野原チャックさんは、アメリカンキルトを日本に紹介してひろめた草分け的な存在の方です。チャックス・パッチワークスクールを開いて25周年。斉藤謡子さんや岡野栄子さんをはじめ、現在活躍されているキルト作家の多くがこのチャックス・パッチワークスクールの生徒さんでした。

野原チャックさんご本人も会場にいらっしゃっていて、図録やご自身の著書にサインをされていました。私は偶然にも何度かお見かけしていますが、もちろん、お話ししたことはありません。いつもオーラがでていてカッコイイ方だという印象です。


さて、会場に入ると、正面に野原チャックさんの作品が展示されていました。「コレだわ!素晴らしいわねえ〜!」といった感嘆の声があちらこちらから聞こえてきました。

前半はスクールの講師の方々の作品がズラリと展示されていて、どれもこれも素晴らしい作品ばかりでした。さすがに25周年を記念した作品展です。

ピースド・キルト、アップリケ・キルト、クレイジー・キルトなどなど、大小さまざまなヨーヨーキルトをつないだ作品の前にもたくさんの人が熱心に見ていました。トラディショナルキルトでは、バスケットやハウスといったパターンのほかに、カップをパターン化したものが目につきました。

後半は、生徒さんたちの作品が展示されていました。といっても、どの作品も個性的で、こちらも素晴らしい作品ばかりでした。

私的には、やはり白地に美しいキルティングのあるキルトに魅かれました。そのほかに、白地にタンジェリンカラーのエンブロイダリーのキルトも素敵でした。

キルト以外にも、小物を集めたコーナーがあって、思わず欲しくなってしまう小物がたくさんありました。なかでもピンクッションが可愛かったです。ジャムの空き瓶らしき瓶のフタのかわりに半球のピンクッションがのっていて、まわりに花びらがついています。カラフルなハギレが楽しいピンクッションでした。

ディスプレイも素敵でした。試験管のようなガラスの筒の形をしたものにもピンクッションがのっていて、何本も篭にたくさん入っていていました。中には、待針やボタン、ビーズなどが入っていました。


ここで、キルトマーケットでゲットしてきたものをご紹介したいと思います。まずはシンブルを2つ、ゲットしてきましたのでご覧くださいませ。カレンダーシンブルです。コレクションシンブルとしては、よくあるシリーズです。絵柄や月名の書体などのデザインが気に入りました。
12ヶ月の中から「March」と「April」の2つだけがありました。できることなら12ヶ月そろえてみたいですが、はじめに12個そろってないと、全部集めるのはむずかしいかもしれません。たまたま、姪っ子の誕生日が3月で、私の誕生日が4月だったので、それはそれでよかったです。「あつめてます:シンブルのコレクション」のコーナーをアップしましたので、こちらもあわせてどうぞ。

そのほかに、野原チャックさんオリジナルのシームオープナーを一本、ゲットしてきました。縫い代を倒すときや印つけに使います。ピーシングの時、アイロンを使わずに簡単に縫い代を倒せます。雑誌で紹介されていた記事を見てから欲しいと思っていたので、まよわず一本ゲットしてきました。これは木製で「ウッドプレス」という名前でおいてありました。

今回はめずらしく、書籍のコーナーもチェックしてみました。パターン集やキルティングライン集など、野原チャックさんの本を中心にそろえてありました。その中で、興味をひいた本が一冊ありました。「パッチワークキルトメーキング—野原三輝の配色教室」です。13年前に出版された本の復刻版で、平成10年にパッチワーク通信社から出版された本です。

この本が出版された当時は、参考になるキルトの本もきっとそれほどなかったにちがいありません。キルト作りの原点がこの本にあるような気がする、そんな本です。

さすがに表紙が、ひとむかし前のレトロな感じで、それが逆に興味をそそられます。復刻されたというだけあって、これがなかなか素晴らしい本なのです。キルトの作り方の基本が、丁寧に解説してあります。ちょっとしたマメ知識のようなものも載っていて、とても勉強になります。何よりも作者のコメントが、ひとつひとつあたたかいのです。キルトを愛する気持ちがひしひひと伝わってきます。


さてさて、今までに何度か展示会のレポートをおとどけしてきました。ワクワクしながら会場に入り、会場を出る時には、まるで自分がにわかキルト作家になったかのように、なりきって出てきました。余韻がいつまでも頭の中に残り、あんなキルトを作ってみたい、こんなキルトも作ってみたいと、頭の中でぐるぐるまわっていました。

すぐ影響されてしまう私ですが、実は、今回だけはなぜかちがっていました。会場に一歩入ってまず思ったことは、意外かもしれませんが「私には出来ない・・・」でした。素直に感動することができなかったのです。

技術はさることながら、私には到底思いつかないアイデアと発想に、刺激を受けるどころか、ちょっぴり自信をなくしてしまいました。使っている布の種類の多さも、半端ではありません。「私にはここにこの布を使うという発想はでてこない・・・」

なんだか、自分の作っているキルトが、とてもつまらないものに思えて、悲しくなってしまいました。私のこだわりって、いったい何だろう?複雑な気持ちでいっぱいになりました。

今では、便利な道具がたくさん登場しています。デザインもパソコンでできる時代になりました。モノも情報もアイデアもあふれています。キルトは日々進化しているように思います。

10年、20年、それ以上の長い年月の間に布を集め、いろいろなキルトをたくさん作り、たくさんの方々にキルトを紹介して教えてこられた方々が作った記念の作品展です。歴史がちがいます。私がいきなり作れるわけがありません。

さきほど紹介した「パッチワークキルトメーキング—野原三輝の配色教室」を見て、少しずつ、気持ちが変化したように思います。最終日に、再度見に行った時は、かなり冷静に見ることができました。そして、今回も無事、このようなレポートをおとどけすることができたというわけです。

今ではすっかり「私のキルトもまんざらでもないかナ?」なんて、思えるようになるまで復活してきました。これからも、私の好きなキルトをマイペースで作っていきたいと思います。そして、みなさまに見ていただけたら、うれしいです。

2001年03月19日

キルトカフェ 展示会のリポートです。
キルトカフェは2005年3月1日にオープンしました。