キルトカフェホームお茶にしませんか展示会リポート

No. 065 カナディアンキルト展を見て

4月3日(火)から4月22日(日)まで、東京、新宿パークタワーのギャラリー・1でカナディアンキルト展が開催されています。カナディアン・キルトの収集家である各務(かがみ)洋子さんのコレクションの中から、1800年代のアンティクークキルト14枚が展示されています。

たまたま新聞の記事でみつけたこの展示会でしたが、会場に行ってプログラムを読んでビックリ。カナダ国外での展示がとても難しいとされる、とても貴重なキルトを見てくることができました。会場は、よく絵画の展示でみられるオープンギャラリー形式でした。今回は、そのリポートをおとどけしたいと思います。

メノナイト派の人々が作ったキルトをメインに、すべてが180cmから200cmまでの、ベッドカバーサイズでした。メノナイト派とは16世紀のプロテスタント系のキリスト教徒で、カナダではオンタリオ州に住んでいるそうです。メノナイト派ときくと、真っ先にアーミッシュを思い出す方も多いかと思います。アーミシュとメノナイトは、基本的信条は同じです。

Lone Star(一つ星)やIrish Chain(アイリッシュチェーン)、Log Cabin(丸太小屋)のパイナップルのキルト、明暗のダイヤモンドにセッティングされているキルトは、黒がベースで、おそらくウールではないかと思われる厚手の布を使っていました。

黒地の布は無地ですが、織り柄の模様がはいっています。黒地のなかでキラッと目をひく色のついた布をよく見てみると、洋服などによく使われるような赤系や青系のチェックやドットの柄などもありました。

これらは、メノナイト派の男性が結婚して独立する時に、家族が愛用していた洋服の布で作られるキルトで、「ウィンターキルト」と呼ばれています。長い長い冬の間に、息子のために作ったといわれるこのウィンターキルトが、とても貴重なキルトだったというわけです。


ガーデンリースとタイトルがついていたお花のリースのアップリケキルトがありました。結婚をひかえた17才の少女が作ったと説明がされていました。結婚のために作られるキルトには、ハートの形のキルティングが許されているといわれています。しっかりとひかえめに、小さなハートのキルティングがブロックの四隅にされていました。

白地に赤いお花に緑の茎のリース、ボーダーには赤いリボンのアップリケがしてありました。17才で嫁ぐ清らかな心が伝わってくるような、ほほ笑ましいキルトでした。

Baby's Block(積み木)のキルトは、チャームキルトでした。チャームキルトは、ひとつとして同じ布を使っていないキルトのことです。One Patch(ワンパッチ)やピラミッド、ダイヤモンドといったパターンでよくみられます。

この年代のチャームキルトは、とても素敵です。布の柄や色がとても豊富で、現在復刻されている布をみつけたりすることができます。

チャームキルトを見ると必ず、ホントに同じ布が使われていないのか、目をさらのようにして見てしまいます。「チャームキルトには、ひと組だけワザと同じ布を使ってあるものがあって、それをみつけるといったカルタ遊びのような楽しみ方がある」と、本で読んだことがあるからです。

ほかにも赤と白、黄色と白のDelectable Mountains(歓喜の山々)のキルトなどなど、家に戻ってから調べてみると、これらは宗教から生まれたパターンということでした。なるほど。


Log Cabinのキルトのボーダーの中には、のこぎりの歯のボーダーがついているものがありました。私の記憶の中では、ログキャビンとの組み合わせは初めてだったように思います。意外とあうカモ?と、ちょっと新しい発見です。

Lone Starは、いつ見ても何度見てもインパクトがあります。いつかは、作ってみたいナっと思います。

三角と四角とひし形などなど、単純な組み合わせ、単純な配色。今回のような、アンティークキルトを見ていると、ホッとした気持ちになります。家族のため、自分のため、一針一針、思いを込めながら作られたこれらのキルトを大切に大事に使ってきたぬくもりが、感じられるからでしょうか?

プログラムによると、カナダのトロントに滞在中に、このメノナイト派の人々が作ったキルトを見た各務(かがみ)洋子さんは、強いショックを受けたと書かれています。キルトといえば、木綿の布を使ったカラフルなものを想像してしまいます。それらとは、まったく違ったこれらのキルト。みなさま、機会がありましたら、ぜひ、ご覧になってみてくださいませ。

2001年04月19日

キルトカフェ 展示会のリポートです。
キルトカフェは2005年3月1日にオープンしました。