No. 108「キルトフェスティバル2002」を見て

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9月4日(水)〜9月10日(火)まで、東京渋谷の東急本店でキルトフェスティバル2002が開催されています。毎年、東京では秋に開催される展示会ですが、初日に見に行くことができたので、今回はそのレポートをおとどけしたいと思います。

まずは、特別展示の野原チャック・アンティークキルトコレクションの数々を見ます。アンティークキルトが大好き!な私は毎年、この「野原チャック・アンティークキルト」を楽しみにしているひとりです。今年は「ワン・パッチ」のコレクションでした。ワン・パッチは、四角、三角、六角、ひし形などなど、ひとつの形のピースをつなげていく、シンプルなパターンです。

アンティークキルトに見られるワン・パッチのキルトは、使われている布の種類が豊富なものが多く、布をつなぐ素晴らしさを十分に堪能することができました。たとえば・・・。

まずは、六角形をつないだキルト。配色をちょっと工夫してできたパターンが、みなさまもよくご存知の「おばあさんの花園」です。1930年代のアメリカで、大流行したパターンです。

中央のピースを黄色の無地布。中央のピースを囲む2段目のピースを無地布。またそのまわりを囲む3段目のピースをその無地の色が入った柄布。といった配色でピースをつないでいくと、ひとつの花のブロックが完成します。色とりどりの花を咲かせると、いかにも「花園」といった雰囲気がでます。

あの柄にはこの無地の色がピッタリ!といった具合に、出来上がった花のブロックをひとつひとつ見ていくのも楽しいものです。花と花をつなぐ布にはベージュ色の無地布が使われていました。

次にひし形をつないだキルト。明暗の組み合わせを利用すると、積み木を積み上げたように立体的に見せることができます。この「視覚」の錯覚をうまく利用したパターンが「ベビー・ブロック」です。布をく明と暗に分けて、組み合わせていきます。

垂直方向のピースには色の濃い布。水平方向のピースには色の薄い布。といった配色でピースをつないでいくと、立体的に見えてくるから不思議です。もちろん、隣り合わせになる布同志は、決して同じ柄布になることはありません。

まるで布のサンプル帳であるかのごとく、たくさんの布が使われていました。布の種類が多ければ多いほど、このパターンの魅力はひきたつようです。

圧巻は「アラウンド・ザ・ワールド」です。四角形のピースをつないでいくだけですが、あらかじめ、配色を計算していればこそのパターンです。小指の先ほどの小さなピースをつないだキルトは、溜め息ものでした。

ワン・パッチの魅力は、あらかじめ、ひとつひとつのピースの布の配色や色の明暗などの組み合わせを計算して作られる無数の幾何学模様にあります。出来上がった時の完成度は、素晴らしいものになります。

一見すると、ただひたすら小さなピースを延々とつないでいくかのように見えるワン・パッチですが、もちろん、そんな単純なものではありません。キルトの原点でもあるワン・パッチは、見れば見るほど、その奥深さにひきこまれていきます。あらためて「キルトって素晴らしい!」と、声に出さずにはいられませんでした。(笑い)

さて、ハーツ & ハンズのキルトショーを見ていきます。毎年、完成度の高い作品ばかりが並びます。今年は、何でもあり!といった作品よりも、布をつなぐ楽しみがひしひしと伝わってくる作品が多かったように思います。

トラディショナルキルトがほとんどではありましたが、ちょっと変わったところでは、先日亡くなった、ビートルズのメンバー、ジョージ・ハリソンを忍んだキルトや没後25年をむかえたエルビス・プレスリーを忍んだキルトなどもありました。

キルティング大好き!の私は、やはり、どうしてもキルティングが美しい作品に目がいきます。アーミッシュキルトの復刻版の作品やフェザーのキルトが美しい作品が印象に残ました。ああ、今回も来てよかった!と思いながら、会場を後にしました。

キルト作りは、根気のいる作業の繰り返しです。だからこそ、楽しいものでなくてはなりません。 それは、アメリカンキルトであれば、ピースをつなぐ楽しみ。配色のおもしろさ。そして、ハワイアンキルトであればモチーフをカットして広げる時のワクワク感。びっしりとキルティングしていくエコーキルトの美しさ。などなど・・・。

そして、一枚のキルトに仕上げること。ここが、肝心です。(笑い)出来上がった時の喜びを忘れることなく、これからもマイペースで、キルト作りを楽しんでいきたい!と思います。

2002年09月09日

つづいて次のコラムもどうぞ。

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キルトカフェは2005年3月1日にオープンしました。