No. 149「第3回私の針仕事展」を見て

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こんにちは。9月2日(土)から11(月)日まで、西武池袋店で「第3回私の針仕事展」が開催されました。7日(木)に見てきましたので、そのリポートをおとどけしたいと思います。

今回で3回目となる「私の針仕事展」。日本のキルター11人の初期の作品と最新の作品を比較しながら作風の移り変わりを楽しむといった内容の展示でした。そのなかのひとり、キャシー中島さんの最新の作品は白地にピンクのアップリケがひときわ目立つ大作でした。

作品のタイトルは「プア カーネーション」。使用している布はむら染めではなく無地の布でした。配色は白とピンクの2色のみ。このシンプルさがデザインの美しさをよりいっそう、ひきたてていたように思いました。多数の色を使ったり、柄の布を使ったり、輪染めのむら染めを使ったりなど、常に新しいものをとりいれてきたキャシーさんですが、今回の作品は原点にもどったようないさぎよさを感じました。

実物を目の前にすると、どうしても気になるのがテクニックです。間近でよく見てみると、デザインが複雑になっているにもかかわらず、アップリケの奥たてまつりの縫い目がほとんど見えませんでした。しかし、初期の作品として展示してあったクッションカバーを見てみると、アップリケのまつり方にあきらかな違いが・・・奥たてまつりの縫い目がかなりはっきりと見えていました。

キルティングは美しい縫い目が魅力ですが、奥たてまつりは縫い目が見えない方が美しいです。落としキルトをすると目立たなくなるからを理由に、結構、適当にまつっていた私でしたが、これからはもっと意識しながら丁寧にまつっていかねば!と思いました。

さて、今回私が楽しみにしていたのが、特別展示のユキ・パリスさんのコレクションとご本人がいらしてのギャラリー・トークでした。ユキ・パリスさんは金沢美術工芸大学の工学研究所の客員研究員でもあり、17〜20世紀のヨーロッパの工芸品を数多く収集しています。NHKのテレビ番組「おしゃれ公房」にも出演されていました。ご存じの方も多いかと思います。

ヨーロッパの手工芸の歴史は古く、布を染色するという技術をもたなかったかわりに、白い布に刺しゅうをしたり縁にレースをあしらったり、カットワークをする技術が発達したそうです。そのなかのひとつにヒーダボーというカットワークがありますが、あらかじめテレビや本で見て知ってはいるつもりでしたが、実際に自分の目で見たものは、想像していたものよりもはるかに細かく繊細なものでした。

当時どのように作りどんなふうに使われていたのか、どうして流行りまたすたれていったのかなど、時代背景と歴史をまじえながら分かりやすい言葉でコレクションを紹介してくださったユキ・パリスさん。とても上品で素敵な方でした。ギャラリー・トークに参加して正解!でした。

2006年09月14日

つづいて次のコラムもどうぞ。

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キルトカフェは2005年3月1日にオープンしました。